新型肺炎コロナウイルス検査陽性者の
令和2年3月3日時点の日本の現状と今後の動向 (令和2年3月4日)
医学統計学研究センターでも、この問題に対して、お役に立てれば、という
思いで、2月22日を調査開始日として3月3日まで、その日からの経過日数と
(1)一日当たりの新型肺炎コロナウイルス検査陽性者の発生数
(2)累積発生数
の二つの図を下に載せました。クルーズ船での出来事は日本とは別世界なの
で、この図には含まれていません。この図は、皆さんもご覧なっていらっしゃ
る方が多いのでは、と思いますが、Johns Hopkins 大学のCenter for
Systems Science and Engineering (CSSE)が開発したinteractive
web-based dashboard からダウンロードできる real time のGitHub
のデータベース(Data sourceはWHO, CDC, ECDC, etc)から描いたも
のです。
経過日数23日目(2月16日)から一日当たりの発生数が急激に10名以上と
増加し始めていますが、3月3日までに新規陽性者発生速度はほぼ一定のよう
に見えますね。その増加傾向に対して、皆さんのよくご存じの回帰直線を当て
はめてみたのが下の図です。きれいな線形回帰直線が適合し、その相関係数は
0.994で、一日あたり 15人程度の陽性者発生数となっています。全国各地で
発生動向が異なるにも拘わらず、全国集計をすると、今回の結果は、このような
直線的な増加傾向を示しています。皆さん、どう思われますか?
さて、問題は3月4日以降の動向です。国民一人一人の行動の自粛など、なんの
対策もなければ、不顕性感染者の行動により、この発生速度がさらに急になる
可能性が大ですが、
2月26日(水)北海道、鈴木知事、道の公立小、中学校7日間の休校要請
2月27日(木)安倍首相、3月2日~春休み、全国小、中、高等学校へ休校要請
2月28日(金)北海道、鈴木知事、道民に対し、土日の外出を控えるよう要請
が出ました。感染は院内感染、家族感染を除くと、不顕性感染者の感染行動が
問題となるので、潜伏期間が最大で、14日程度あり、平均的な潜伏期間が
1週間程度あることを考えると、国民ひとりひとりが自粛した行動をとったと
しても、その効果が出始めるまで1週間程度はかかりそうです。言い換えれば、
あと1週間程度は同じような上昇直線が続くことが予測できそうですが、もう
少し早く効果が現れることを期待したいですね。
世界では、韓国、イタリア、イラン、最近ではフランス、ドイツ、スペイン等が
大変な勢いで陽性者数が急増(outbreak)していますが、これに比べれば、
まだまだ日本は直線的で穏やかな増加傾向であり、outbreakとはいえる
状況ではありません。そうならないように、国民ひとりひとりの冷静な自粛が
望まれます。
では、1週間後、どのような状況となったか、などについて報告させていただ
きます。
Good luck !
Best wishes
Center for Medical Statistics
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